薔薇マリ壱

独占欲なのかな?
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「……………」

僕の目の前には珍しく寝ているアジアンがいる。

「……ん…」
「…っ…!?」

寝返りを打ちながら寝心地の良い場所を探しているのだろうか。もぞもぞと動きながら僕の方を向いて止まった。

「……う……////」

そして僕は今…アジアンと同じベッドの中で寝ていたり…べ、別に深い意味はないから!ただ、珍しくアジアンが眠たいとか言うから仕方なくベッドを貸してあげたら引きずり込まれただけで…!

「……綺麗…」

不意に目に飛び込んできたアジアンの顔を見ると漆黒の髪がサラッと垂れ細く長い睫毛があらわになる。

「…睫毛、長…」

いつも起きているときは、じっと見る気はしないけど、今日はなんだかいつまでも見ていたい気がする。

「……………」

こんなに綺麗な顔をしているのになんであんな風になっちゃうんだろ…。普通にすればきっとモテる筈なのに…

―…ツキンッ……―

「……………」

胸が痛い…。別にアジアンがモテようがモテまいが関係ないはずなのに…。

「……マリア?」

胸が痛くてぐっと体を丸めるとアジアンの声が聞こえてくる。

「泣いてるのカイ?」
「………別に…」
「嘘だネ。僕の方見て?マリア。」
「……やだ…」

泣いてなんかない。ただ目の奥がツンと熱くなっただけ…。

「君なんて…モテなくなればいい」
「……………」

泣きそうになっている顔を見られたくなくて悪態をつくとアジアンがふっと笑っている気がしたから。

「…笑うな…」

と、言うとアジアンは優しく腕を回してきて、その腕より優しい声で、

「僕にはマリアだけだヨ」

なんて言うから僕は余計に恥ずかしくて顔をあげることができなくなった。

「愛してるよ。マリア。」

この優しい声も、優しく抱き締めてくる腕も、真っすぐに見つめてくる瞳もなにもかも僕のものになれば良いなんて…

「…馬鹿じゃない」

これって…独占欲なのかな…?

END
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