薔薇マリ壱

たまにはこう呼んで?
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昔…母が再婚した時から義父の連れ子だったアジアンとは兄弟になった

「初めまして。マリア、よろしくネ?」
「………」
「マリア、お兄ちゃんよ?」
「………」

でも初対面のアジアンをいきなりお兄ちゃんなんて呼ぶことが出来なくて僕はずっとアジアンを遠巻きから見るしか出来なかった。

「マリア。こっちにおいでヨ。」
「…うん…お兄……ちゃん……」

それでもなんとかアジアンをお兄ちゃんって呼べるようになった…。

でも僕が高校に入学したと同時に兄から恋人に変わって、呼び方もお兄ちゃんからアジアンへと変わった。

それで現在に至るんだけど…

「マリア。僕のこと呼んでみてくれないかイ?」
「?アジアン。」
「もう一回」
「…アジアン」
「もう一回」
「…アジアン」
「もう…」
「うざい」

今日は朝からこの調子…。テスト勉強を見てくれるからって部屋にいれてやったのに本当に欝陶しいんだけど…

「…マリア……」
「…………」

しかも突き放したら突き放したでなんだか捨てられた猫みたいな目をして人を見てくるし…

「…あー!!もうなにッ?!言いたいことがあるならハッキリ言えばいいだろ!」

ぶっちゃてしまうとこの目をしたアジアンはどうも苦手だ…放っておけないというか構いたくなるというか…

「…怒らないかい?」
「…それは聞いてから決める」
「……たまには昔みたいにお兄ちゃんって呼んで欲しいんダ」
「は?」

いきなりのアジアンの発言についていけず間の抜けた声が出てしまった

「だから…」
「いやいやいや…いきなりなんなわけ?」

恋人になった時に名前で呼んで欲しいと言ってきたのは誰でもないアジアンだ。

「いや…名前で呼んでもらいたいのは本当だヨ?でもたまには昔のように呼んでもらいたいなァ…てネ。」
「…はぁー…わかったよ…」

よく僕はアジアンに厳しいってユリカ達に言われるけど絶対に甘いほうだと思うんだよね

「お兄ちゃん」

End
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