薔薇マリ壱

たまには…ね
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僕は今日、必要品を大量に買い込もうとアジアンを荷物持ちに鉄鎖の憩い場に来てる

「え〜と…アレとアレは買ったから…あ、アレももう無いや。あ、コレも買わなくちゃ。」
「…なかなかいっぱい買うんだネ。マリア」
「だって今、買わなくちゃ損するし」

何故か今日は在庫一掃セールなのか殆どの露天が少し値を下げている。これを逃したらなかなか大量に買い込むチャンスなんてない。

「それはそうかもしれないけど…これじゃあマリアと手を繋ぐことも出来ないヨ?」
「うん繋ぐ必要ないから」
「相変わらず冷たいなァ」

今、アジアンは両手いっぱいに買い物袋を提げている。全部僕の買い物だけどアジアンは嫌な顔一つ見せずに全部持っているから気にしてなかったけど…さすがに持たせすぎかな…?

「おじさんコレとコレとコレ頂戴」
「あいよ」
「よし。これで買い物終了〜!…じゃあ荷物半分頂戴」
「アレ?持つのかい?」
「…たまにはね…僕の買い物なんだし」

とりあえず最後の買い物も終わり、少しの罪悪感を感じたのでアジアンから半分荷物を貰い歩き始まる

「………」

少し遅れて歩き始めた筈のアジアンが僕の半歩前に出て周りを気にしながら歩く

「………」

僕、女の子じゃないんだからそんなに周りを警戒して歩かなくて良いのに…

「………」

少し照れくさくなって、ふと視線を下にそらすと僕に近いほうの手が歩きに合わせ揺れていた

「………」

『これじゃあマリアと手を繋ぐことも出来ないヨ?』
『うん繋ぐ必要ないから』

「………」

少しぐらいなら…良いかな

「………」

アジアンに気づかれないように手を伸ばして人差し指と中指をそっと掴む

「マリア?」

そしたらアジアンは不思議そうな顔をして振り返ってきた

「…たまには…ね」

そういうとアジアンは「愛してるヨ」と言いながら優しく微笑んだ。

End
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