扼 殺

□叫ぶ、堕ちる、零れる
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ネウロは最近セックスを覚えた。
あたしがうるさい時に飛んできた物や足がなくなり、代わりにデスクかソファに押し倒されるようになった。
あたしが生理だろうが病気だろうが関係ない。
でもそれはセックスなんかじゃない。
ただの性行為だ。
指す意味合いは同じかもしれないが、あたしの中では全然違う。

ネウロの言葉には、温度がないのだ。













「ねぇネウロ、あたしをぶって。」


そう言うとネウロは読んでいた本を閉じ、溜め息をついた。
ネウロは最近溜め息が多い。
あたしがネウロの範疇を超える発言をするからなのだと思う。


「面倒だ。」

「ぶってよ。」

「我が輩以外に言えばいいだろう。」

「ネウロじゃなきゃ駄目なの。」

「何故だ。」

「ネウロじゃなきゃ、意識が飛ばない。」


意識が飛ぶまで殴ってくれない、そう主張するあたしに我が輩はそこまで貴様を殴ったことはないなんて吐き捨てた。
その自信はどこから来るのかと問いたい。


「不思議ね、貴方は忘れてるのに気を失ったあたしが覚えているなんて。」


あれだけ強い蹴りを何度もかましておいて良く言ったものだ。
おかげでこっちは今だに食欲が沸かないとゆうのに。


「わからんな。何故いきなり暴力を振るえなどと言う。あれだけ嫌がっていたのは何だ?」

「…意識と一緒に記憶も飛んでしまわないかと思って。」

「そんなもの飛ばして何になる。」

「何にもならない。だからよ。」


ただ、ネウロのことを忘れられたら、あたしはどれだけ普通の幸せな女の子に戻れるのか、と思っただけだ。
ネウロはわかってない。
この太ももの青あざも、首もとのキスマークも同じだと思っている。
なんて、最低な男。


「わかった、では今すぐ何も考えられなくしてやろう。」


降ってきたのは唇。
そのまま冷たい床に押し付けられる。
冷たい、冷たい、冷たい。
何が、とゆうとネウロの体温が。
そしてあたしの目から流れる雫が。


「…何故泣く。」

「何故って嬉しいからよ、ダーリン。」


あたしは貴方の恋人だもの。
でもこれはあくまで『恋人ごっこ』であって。
ネウロには、あたしがネウロに対して抱いてる感情なんか持ち合わせいない。
ネウロは意味もなくあたしの服を剥ぎ取っていくけど、そこにもネウロの欲望なんてないのだ。
あるのはただの好奇心。
ある人間の、少女への。


「おい、うるさい。いい加減泣き止め。」

「何よ…ファック、するんでしょ。」

「汚い言い方をするな奴隷。」


この涙はあたしの心だ。
ネウロが好きな分だけ涙になって流れている。
だからそう簡単には止まない。
このまま全て出し切って、空っぽになれば貴方を受け入れることができるのだろうか?
ネウロはどこで覚えて来たのかあたしの首もとから耳にかけてまでを舐めあげると、あたしはネウロの言った通り何も考えられなくなった。
この行為にあるのは、体液だけだ。
なんて、汚らわしい。


「貴様は、何がしたいのだ。」


何、って。
そんなの、そんなもの。

(貴方の言葉には、温度がない)







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(ただ愛されたいだけに、決まってるじゃないか。)
















 

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