Present

□Thank you for your kindness
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「ン…す…すこりゅぽす?」

「うわっ、ミューそれヤバイって超かわいいし」

でも俺の名前はスコルポスだし?名前間違えてるぜオーケイ?

頭一つ分低い視界に合わせるため、少し膝を折ったスコルポスにトランスミューテイトは神妙な顔つきでコクリと頷いた。

「オー、ケイ。すこりゅぽす」





























Thank you
for
your kindness
























「―――!!」

「止めろ兄貴。言っとくがスコルポスにそんな趣味はねぇ」

ランページは得物を片手に飛び出していこうとしたが、逞しい腕がタイミング良く首に巻きついた為未遂に終わった。無理やり押しとどめられた当人は踏みつぶされた蛙のような声でぐえっと呻き、殺しきれなかった慣性に従いどうと床に倒れた。

「別にスコルポスはトランスミューテイトを手込めにしようとしてるわけじゃねぇ。落ち着くんダー」

オーケイか?そう尋ねる義弟はいつになく舌の滑りが良かったが、兄はその言葉を全くと言っていいほど聞いていなかった。なんといってもMダイノボットの正確無比なラリアットは強烈だ。必殺の技を受けたランページは多少大人しくなったが、回復した途端に血走った目をぎょろぎょろさせて跳ね起きた。といっても、途中までだが。

「オーケイじゃねぇみたいダな」

Mダイノボットは倒れた義兄に跨りつつ、その足首を両脇で硬くロックしていた。仕方ないと呟くと、遠慮なく腰を下ろす。逆海老固めの体勢である。

「!?いっだっだだだなにさらすんじゃおんどれーっ!!」

Mダイノボットのメカメカしい形相はけして伊達ではない。予想だにしない重量がランページの背骨をミシミシ軋ませ、抗議の声さえ掠れさせ絞り取っていく。

「とりあえず落ちつけよ。ミューのお願い聞いてやってシバかれたんじゃ、流石にスコルポスが気の毒ダー」

タップする力が次第に、だが確実に弱まっていくのを感じながらMダイノボットはより一層背筋を反らさせた。

スコルポス。下敷きにした義兄の体がその名を聞いた瞬間、頑是ない子供の癇癪そっくりに戦慄いたのに彼は気付いた。傍からするとどちらも狂っているように見えるものだ。

我らが副指揮官殿は、サイバトロンとの交戦やその他の任務遂行の折には中々に凶悪な面を晒すくせに意外と人が良い。それ故に新参者のトランスミューテイトもいつの間にか(ランページに言わせるなら"わしが目を離した隙に")スコルポスにすっかり懐いてしまったのだ。こうして、キッチンに二人きりで和気あいあいとするくらいには。

まぁそれに至るまでは両人の間に様々な経緯があったわけだが、ミューちゃん命の赤い保護者にとってはそんなこと知ったこっちゃない。ぶっちゃけスコルポスの胸に風穴開けたくてしょうがない。殺しちゃったっていいじゃない、だってミューちゃん大事なんだもの。byじろう。あまりの動揺に謎の詩だって思いつく。簡潔にいえば今現在のランページ、半狂乱である。

「はっ、なっ、せぇええ…!はようせんとミューちゃんに阿呆がうつるじゃろうがぁ!」

「ダー?」


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