小説U

□難しい
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「ティトォさんっていっつも本読んでますょね。」









難しい











「そうだけど?」

いつも唐突だなあと思う。

「しかもいつも厚い本ばっかりで・・。」

「いやいや。厚いからこそ、読み終えた時の達成感が・・。」

「更に内容も難しいですし・・。」

「興味のある人なら、これが面白いんだよ。」

そうですか〜?と頬を膨らませる。

かわいいなあ。

「まあ、リュシカは童話ぐらいしか読まなさそうだもんね。」

「ティトォさんは!私の事を馬鹿にして〜!」

「ごめんごめん。」

苦笑を浮かべてやりすごす。

「そうだ!ティトォさん読んで聞かせて下さいよ!」

「え?」

「私にも分かるようにですょ!」

「ちょ、ちょっと待って。」

「何ですか?」

「どうして?」

内容に興味がないはずなのに。

「だって・・。」

少し迷ってから、

「だってティトォさんの話に少しでもついていきたくて・・。」

思わず笑ってしまう。

「笑わないで下さい!」

「だって・・本当にかわい・・」

「もうう〜〜」

「安心しなよ。」

「え?」

「誰も置いてったりしないよ?」

だから。

聞かせてあげよう。

いつか、二人で語り合えるように。
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