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□☆星空
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「義母さん、ダメですよ寒いのに。風邪ひきますよ」
「上田先生、いらしてたんですか。……綺麗でしょう、今日の空は」
「えぇ、長野ともなると、森林が多く空気も綺麗で、都心とは違い星もはっきり見えますね」
「……黒門島の人々も、この空を見てるかもしれませんね」
「!」
「この日本にいる人間で、一体どれほどの人間が、この空を見ていて、その中のどれほどの人が、霊能力をかたっているのでしょうね」
「義母さん……」
「上田先生、私は分かりません。自分のしたことが本当に正しかったのか、自分は何者なのか、あの子は何者なのか」

「こやつ、何者じゃ!?」奈緒子の寝言が遠くに聞こえる。

「今でも思うのですよ。私のしたことで、一体どれほどの人間が苦しんでいるのか。……その中に、奈緒子や夫が入っているのか」
「義母さん、案ずることはありませんよ。あなたのしたことは、当たり前のことです」
「それでも、奈緒子を苦しめたことには変わりありません。」
「霊能力なんか存在しない!!」

上田はいつになく大きな声で言った。

「……」
「霊能力なんか存在しないものに、どうして縛られなきゃいけないんです?あなたも、奈緒子さんも、親子揃ってどうして弱気なこと言うんです!」
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