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□◎映画の日
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8月21日。

今日甲本は柴田と三回目のデートをする。
今までも、映画好きな柴田を「誕生日プレゼント」だの「母親に貰った」だのして映画に連れ出していたが、今回の甲本は浮かない顔をしている。

なにせ昨日、衝撃の事実を知ってしまったからだ。

『柴田は将来、「甲本」ではなく「田村」になる…』

タイムマシンのドタバタの最後に知ってしまったこの事実。甲本は正直、忘れ物をした田村を恨んだ。

「余計なことすんなよ…!あのもっさり!」

甲本はその後、帰り道に小暮を誘い、名字について話し合った。
小暮は甲本が柴田を好きなことは知っていたので、難しい顔をしていた。

「うーん…確か、名字に関する訴訟かなんか起こして勝てば、変えられるんじゃなかった?」
「例えば?」
「『俺の名字はみんなに馬鹿にされるから変えて欲しいって役所に行ったら不審者扱いされたー』とか。」
「ば…ばっかじゃね?」
「だからそれぐらいしないと、名字って変えられないってこと。…ってか、田村の方がよっぽど馬鹿にされそうだけど」

そう言って、小暮は笑った。

「まー、とりあえず不可能なことはないからさ、頑張ってみなよ。タイムリミットとしてはあと5年くらいあるんだし」
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