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□☆星空
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佐和子との対決後、奈緒子は長野に帰っていた。上田も義母さんに挨拶するとかなんとか言って付いて来た(本当は帰郷するお金もなかったので次郎号で送ってもらっていたのだが、それは奈緒子は気にしなかった)。

里見は突然の娘の帰郷に驚きもせず暖かく迎えてくれた。
「奈緒子も上田先生も上がって、さぁ」
「そういえばお母さん、あの変なポスター、何だったの?選挙とか何とか……」
と奈緒子が尋ねると里見は「木綿のハンカチーフ」を歌いながら奥へ行ってしまった。

その日の夜。
「亀山歌……かめはめはったら……かめはめは……一句出来ましたぁ…zz」
「もはやドラゴンボールじゃねぇか」
隣の部屋(といっても衝立の向こう)の奈緒子の寝言が激しくて起きてしまった上田は、ぼさぼさの頭をさらにかきながら、少し夜風にあたろうと庭へ出た。空には満月や星たちが紺青の空に輝いていた。

「……義母さん」

そこには星空を見上げる里見の姿があった。
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