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□夢に猫飼い現に飴買い
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ドアのチャイムを鳴らすと、ピアノの音は突然止まった。まるで、新しい客人に怯えるように。
しばらくすると、パタパタとスリッパの音がして、ドアが開いた。
綺麗で上品なご婦人だった。白いレースのエプロンをして、若草色のブラウスに紺色の花柄のフレアスカートを履いていた。
「…どなたかしら?」
「あ、あの、この度ご紹介にあずかりまして天城さんのお宅の家庭教師をすることとなった、永池隆介です。」
「あ、あなたが永池さんの息子さんね!ようこそ遠い所から」
その婦人はにこやかに答え、僕を家へ通してくれた。
母さんにこんな友人がいたとは思わなかった。
その人はそこの家の奥さんで、菫さんといった。客間に通された僕は出されたカモミールティーを飲みながら、菫さんの話を聞いた。
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