彩雲国物語 夢小説


□Short Story
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道のりは険しく
(双花,劉輝×秀麗,黎深)



ふんふふ〜ん♪

上機嫌な上、鼻歌まで歌いながら仕事をするこの男は紫 劉輝。

これでも彩雲国の王である。



名残惜しみながらも秀麗と別れた後、劉輝は執務室に戻って仕事を再開している。


「全く何処か出かける時は一言言ってから行け!」

絳攸は劉輝を見つけた後、散々説教をしたのだが、ご覧の通り劉輝はこの有様である。

全く効いてない上、
「絳攸は心配性だな。そうか、それほど余のことが…」
と激しく勘違いをしていた。


楸瑛は絳攸を宥めながら、自分はいつもこの役だなと苦笑を漏らす。


「それより主上。…大変言いにくいのですが…」

「なんだ楸瑛?」

「あの場に…紅尚書がいたのですが…」


突如鼻歌が止み静寂が辺りを包む。

劉輝は顔を引きつり、冷や汗が頬を伝う。


「絳攸!」

「なんだ」

「頼む。余を助けてくれ」

「そんなもの知るか!」

「何故だ!?紅尚書は絳攸の養い親だろう?絳攸の願いなら…」

「あの人が俺の言うことを聞くか。自分が蒔いた種だ、自分でなんとかしろ」

「絳攸は余に厳しすぎなのだ〜。余が紅尚書に仕打ちを受けても心配でないのか?」

「ない!」


劉輝はうるっと目を潤ませるが絳攸は見てみぬふりだ。


楸瑛は、自分と同じで誰よりも真っ先に王を心配するくせにと心の中で突っ込む。


「楸瑛〜」

劉輝は楸瑛に懇願する。

「こればっかりは自分でなんとかして下さい」

うううとうなだれる劉輝。


もしもの時は誰よりも先に駆け付けますから。

いつまでも貴方の一番の味方です。

その為に私達はいるのですから――。





後日、紅尚書からこれでもかというほど嫌がらせを受けたのは言うまでもないだろう。

これからは周りを確認してから秀麗に逢おうと決意した、懲りない劉輝だった。



***

劉輝SS完結です。

もう短編と変わらないんですが…(苦笑)

劉輝が嫌がらせを受ける場面を書きたかったんですが長くなりそうなのでやめました。

想像してたのは、夏に紅州産の腐ったみかんを送り付けるとか、歩いているとどこからともなく扇が投げつけられるとか…(笑)

ある意味黎深様も子供の心を持ち続けている人ですね。



2008.08.15 由良


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