彩雲国物語 夢小説
□Short Story
6ページ/19ページ
暑い二人
(飛翔×玉)
「あちぃー」
パタパタと手で仰ぐこの男は管飛翔。
「暑くても仕事をして下さい」
淡々と男に話しかけるのは欧陽玉。
「なんですか!?その格好は!」
なんとなく顔を上げると目に入った飛翔の格好に思わず声を荒げてしまう。
「あ?暑いんだって。つーかお前もさぁ…何もこんな暑い日までじゃらじゃらつけることないだろ…」
どんなに暑くても全てにおいて手を抜かないのが彼だ。
「ほっといて下さい。あなたに私の美意識なんて分からないでしょう」
「分かりたくねぇよ」
「聞こえてます!」
小さく呟いた言葉まで玉には届いており、飛翔は顔を引きつらせた。
「…しょうがないですね、この冷えた酒でも飲んで下さい」
普段の彼からは決して聞くことのないだろう、酒を勧められ、飛翔はぎこちなく手に取る。
「……お前何か企んでるだろ…」
裏があると知りつつも大好きな酒を目の前にしては呑まずにはいられない。
少しの沈黙の後、溜め息混じりに玉は口を開いた。
「当たり前です。ただであなたに酒を渡すわけがないでしょう?体が冷えたらさっさと身嗜みを整えて仕事をして下さい。飲んだからにはきっちりやってもらいますからね」
すでに空の酒瓶を目に、飛翔は深く溜め息を吐く。
「…お前こそ、服装どうにかしろや。見てるだけで暑いっての」
「私はあなたの毛むくじゃらが見ていて鬱陶しいことこの上ないですね。どうにかなりませんか?」
「オレがお前みたいになったら逆に気持ち悪りぃだろ」
玉は少し考えた後、…それもそうですね、と同感した。
自分の上司がこの酔っぱらいでなく、麗しの戸部尚書ならどんなに良いだろう…。
叶わないと知りつつも、思いを馳せずにはいられない欧陽玉であった。
***
夏!
ある意味、暑苦しい二人の登場です(笑)
飛翔は夏が似合うなと個人的に思っているので書いてみました。
ただ、着くずした格好をして玉に怒られる所を書きたかっただけです(笑)
最後ら辺の、飛翔が玉みたくきっちり着こなし、髭も剃り、髪も手入れし……を想像した玉が飛翔の言葉に同感する場面が個人的に好き(笑)
普段の二人はどんな感じなんでしょうね。
2008.07.19 由良
目次へ
戻る