テニプリ

□恋愛対象外
1ページ/2ページ

千歳独白




確かに、稀にみる美貌だと思う。
痛みのない綺麗なミルクティー色の髪の毛も、きめ細かい白い肌も、すらりと伸びた細長い手足も。
はっきりいって俺がこの短い人生の中で出会ってきた人間の中でも遥かに美しい人間なんだろう。初めて会った時、その視線に戸惑ったのを今でも覚えてる。

でも、見た目だけじゃない。
変な口癖をコート上で大声で口走るくせに、実は男女のことには顔を真っ赤にして恥ずかしがるところとか。真面目で、ストイックで、でも体をはって笑いをとりにいくところとか。
部長という立場で、人一倍の努力に裏打ちされた実力を持ち、上からも下からも慕われて。
きっと彼を疎む人間なんて、いないんじゃないかと本気で思う。
二年にして部長をつとめ、きっと俺には想像もできない辛い思いも、沢山したのだろう。時折みせるカゲを帯びた表情は、はっきりいって俺の好みストライクだった。



でも、だ。
だが、しかし。


いくらときめこうが。
いくら好みだろうが。


白石は男だ。

いくら綺麗でも180近い身長もあるし、いくらときめいたとしても、抱き締めたら、あるのは膨らみの全くない固い体なのだ。

そんなの女の子の方がいいに決まってる。

だから、白石は恋愛対象外。












なんて、自分に言い聞かせてる時点で、俺はもう取り返しのつかないところにいるんじゃないかと、思い始めた。




END,
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ